Media IPPO vol.8 – 夢を持って、夢を語れ! –

 現役の東大生ながらもファイナンシャルプランナー*(FP)の資格も持つ森本 颯太 (はやた) さん(22)。世の中の情報格差を無くしたい」と、高専からの大学編入生による学生団体ZENPEN*代表を務め、編入生を対象にした合同企業説明会などの高専生の情報格差を無くす活動を積極的に展開する。「平成の松下村塾設立」を夢見るという森本さんにFPとなったきっかけや、高専時代のドイツ留学経験などから得た人生を変えたきっかけについて話を聞いた。
 森本さんは福岡県出身。国立北九州高専を卒業、東京大学工学部に編入し物理工学を専攻する3年生。

*人生における夢や目標に対して、総合的な資金計画を立て、経済的な側面から実現に導く「ファイナンシャル・プランニング」を行う。金融、税制、不動産、住宅ローン、生命保険、年金制度などの幅広い知識を備えサポートをする。
日本FP協会HPより https://www.jafp.or.jp/confer/about_fp/

*ZENPENは2014年に設立された、高専からの大学編入生による学生団体。「高専のプラットフォーム」を構築すること、そして高専関連の生きた情報を提供することにより、高専生すべての人の進路の課題を解決を目指している。

”高専”への進学で人生が変わった

父親の仕事の影響で、中学卒業後は高専への進学を希望していました。ただ、小・中学校はほとんど勉強しなかったため、模試では第一志望の北九州高専はE判定でした。中学の担任の先生も高専を受けることを反対しました。それが、いちかばちか受けてみたら、合格をいただけたというのが実際のところです。

晴れて入学したものの、高専は成績が基準に達しないと留年してしまいます。留年が怖くて入学直後から勉強は頑張りました。そして、ある時物理の講義がきっかけで「知るって楽しい」と感じるようになったんです。特に宇宙の分野に興味を持って調べていくうちに、量子力学に惹かれるようになりました。

高専を卒業しても物理の勉強がしたいと思うようになり、進路選択では大学編入学を志望しました。どうせなら一番高いところを目指そうと思い、東京大学の物理学科への編入学を目指しました。好きなものだったので集中して勉強しても苦ではありませんでした。

その勉強の甲斐あって東大に無事に合格することができました。母親に「東大に合格したよ!」と言っても、「どうせ嘘でしょ」と暫く信じてもらえなかったのですが、そのくらい高専進学で小・中学校の自分からは考えもつかないくらい、人生が大きく変わったのだと思います。

「ありがとう」と言ってもらえることを仕事に

九州高専にいた時は、SonyやGoogleなどの大企業に勤めて「安定した暮らしが良いのかなあ」と考えていましたが、上京して友人からの紹介で出会った大手航空会社の社長など色んな人とお話をするうちに、そういうサラリーマン的な考え方は変わっていきました。

特に、あるFPの方と出会いは自分に大きな影響を与えました。その方は、具体的には明かせないのですが、自分の夢を追いながら、FPという仕事も充実させ、関わった人々を次々と世の中に出して、成功させていたのです。

その方の仕事ぶりを目の当たりにして「これだ」と思いました!昔から、人から「ありがとう」と言ってもらえることに喜びを感じるな思っていましたが、その方のように「ありがとう」と言ってもらえるFPを自分の仕事にしたいと考えるようになったのが、FPを志すきっかけでした。

渋谷での靴磨き、個人家庭教師・・・自分の力でお金を稼ぐということ

FPを志すに当たって、まずは自分でお金を稼ぐ経験をしようと最初に思いついたのが、渋谷駅 ハチ公口での靴磨きでした。なぜ靴磨きだったかというと誰でもできそうだなと思ったからです。お店を構えてしまうと道路交通法違反になりますので、声かけをして靴磨きをさせてくれる人を探しました。いわゆるナンパです。中高年のおじさんをターゲットにしたナンパですけどね(笑)

1円でも稼げるまでは帰らないと決め、あとは度胸と根性だけでやりました。最初1時間は全くダメで、「東京って冷たいな」と後ろ向きになっていました。それでも声をかけ続けて2時間ほど経過した時のことです。一人の会社経営者から「靴磨きお願いするよ」とOKをいただきました。実は、靴磨きなんてしたことがなかったので、心臓ばくばくでした。もしかしたら、綺麗になるどころか、汚してしまったんじゃないかというような出来でしたが、その方は1,000円を僕にくれました。

時給換算だとアルバイトの方が良いですが、初めてもらった1,000円はものすごく重く、自分の力で稼いでいくことの大変さを実感しました。靴磨きは1ヶ月続け、多い時で時給1,500円くらいになりました。続けるうちに、新規の顧客開拓だけではなく、リピート性が必要だということに気づきました。

靴磨きの経験を糧に次に始めたのが、個人契約の家庭教師です。世田谷区内のマンションを一件、一件飛び込みで売り込みました。靴磨きの時は最初の1時間だけでしたが、家庭教師は最初の1000件くらいが全てNG。それでもめげずに続けていくうちに、1件、また1件と契約を取れました。

教えることでいただく親御さんや子ども達からの「ありがとう」が企業的な家庭教師ではもらえない、自分そのものへの「ありがとう」であることに非常に喜びを感じました。「やっぱり人に教えることを仕事にしたい」と、あらためてFPへの思いを確信したときでした。

チャレンジに失敗しても死ぬことはないと気づけたドイツ留学

靴磨きや飛び込みの家庭教師の個人営業など、なんでこんなにもめげずに自分が前に突き進めるのか。そのきっかけは海外での忘れられない経験でした。

高専3年次、ドイツの高校へ1年間留学しました。英語圏を選ばなかった理由は、生きるか、死ぬかの環境に自分自信を置いてみたかったからです。ドMですかね?(笑)

ドイツでは日本人が一人しかいない高校へ通いました。せっかくなら日本語を一切使わず、現地人になろうと思い、Twitter、Facebook、Lineなど日本との連絡手段や日本語との接触機会をすべて断ち切りました。まあ大変でした。こうして話していて思いましたが、やっぱりどMですね(笑)。

でも、そこで気づいたんです。僕の場合、チャレンジし続けて、きつい状況にあっても、それでも死ぬことはなかったんです。1年間とはいえ、10代にドイツで一人で暮らしたことでチャレンジしても死なないと気づいたこと、根拠はないけど大丈夫だという自信を持てたことは、自分の大きな武器となりました。

海外に出てみたことで、今まで自分がいたコミュ二ティの狭さをより強く実感しました。国籍・文化・宗教・考えたなど、視野を広げることができたのは間違いなく留学のおかげです。最初は全く話せなかったドイツ語もドイツ語検定準1級を取れるくらいになりました。やってみたら案外上手くいくもんですよ!若いうちに留学もしくは、海外には行くべきですね。できれば一人でね。

生き方や考え方を教えたい

FPを始めてから、これまでに300人くらいに会ってきました。ほとんどが紹介ベースです。夢や幸せを考えたいけど、お金で苦労している方の助けとなれればと思って活動しています。主婦、おじいちゃん、おばあちゃん、会社経営者、会社員、スポーツ選手、学生など問わず、公共料金、通信料、保険、税金、ローンなどトピックは様々です。「出費がすごく浮いた」「お金のしくみがわかった」と感謝されるととても嬉しいですね。無料なので、お気軽にお声をかけてください。

僕はいつか、生き方や考え方を教える事業をやりたいと思っているんです。松下村塾がわかりやすいイメージです。その夢を叶えるのに、今のところ一番しっくりきているのがFPなのです。

世の中の流れに踊らされず、強く生きれる人を育てたいと思っています。その中で、世の中を変える人が出てきてくれたら良いなあと思います。テレビ見た時に、「ああ、こいつも偉くなったなぁ」とか言って(笑)

人生での成功って人それぞれですし、幸せの形も十人十色だと思います。ただ夢は持ってもらいたし、叶えて欲しいと思っています。お金に詳しくない方、騙されてしまっている方を救いたい、自分に出会ってくれた人は幸せにしたい、人生を変えたいと思っています。

これからの僕たちの時代はシェアの時代だと確信しています。企業の副業解禁、シェアリングエコノミー、仮想通貨などに代表されるよう何か大きな大樹(大企業、政府など)に支えられるだけでなく、それぞれが分散された経済圏が発達していきます。その時までに何か一つ、自分自身を語れるように僕も更に頑張ります

ZENPENでの活動は、高専への恩返し

高専って良い教育機関だと思うし、学生にたくさんのチャンスをくれるんですけど、狭いコミュニティなんです。視野が狭くなるというか、外からの情報が十分に入ってこないリスクがあるとずっと感じていました。

そこで、高専からの編入学や編入した後の就職支援情報などを行うことで、”情報格差”を無くしたいと思い、高専出身の学生による団体「ZENPEN」で活動をしています。

僕は高専にとても感謝していますし、恩返しをしたいと思っています。いずれは留学のプログラムを作るなど、留学情報や体験談なども届けたいです。また、高専から編入した学生って埋もれてしまうので、非常にもったいないと感じています。世の中に、”編入生”を知ってもらい、企業にもそこを評価して欲しいですね。そして、評価してくれる企業を紹介していきたいと思っています。

高専生は中学卒業後の5年間の教育機関ですから、短大卒扱いになります。でも、実力さえあれば、大学卒と同等に扱ってもらいたいし、「埋もれるな高専生」ということで、情報提供していきたいと思っています。随時、一緒に活動してくれるメンバーを募集しているので、我こそはという方、ご連絡ください!

最後にひとこと・・・夢を持って、夢を語ってほしい

まずは夢をもって、いろんな人へ夢を語ってください。そうすれば”やらないといけない状況になり”、行動に現れてきます。周りに流されることも段々と無くなっていきます。

夢への努力は、決して無駄になることはありません。過去を振り返れば、あの時やっておいてよかったと思える日が必ずきます。僕らの祖父母やその上の世代の時代には、夢に向かって努力することができなかった時もあったんですから、”努力”できることに喜びを感じないといけないですよね。

そして、やり続けることで、想いの強さも変わっていきます。そして、その想いの強さが周りにも影響を与えます。きっと協力してくれる仲間が見つかります。夢は「歌手になる」「デザイナーになる」「プロ野球選手になる」などの目的の手段ではありません。肝心なのはその後、歌手になった後の自分のありたい姿なのです。夢はその先の、人を笑顔にするための手段だと思っています。簡単ではありませんが、見つかるまでは必死に考えて、行動して、探してみてください。

編集後記:
筆者と森本さんのつながりは、ZENPEN主催の企業説明会だった。会社として参加し、高専生を前に自社の説明を行った。その後、ZENPENのHP製作など、会社を通して交流が続いた。真面目でしっかり者な印象。チャレンジ精神旺盛な森本さんだが、その人柄は驚くほど謙虚で優しい。

インタビュー中も、自分自信を讃える話はほとんどしない。しかし、夢や目標を語ってくれるときは、熱がこもり、大きな瞳が輝いた。東京大学に通いながらFPとして毎日忙しく活動される森本さんの目標は大きい。筆者もいつか教育事業をやりたいと強く思っているので、今回のインタビューではとても勇気づけられた。高専への恩返しも共にやっていきたいと強く思う。

森本颯太さんのFacebook
https://www.facebook.com/hayata.morimoto

 

 


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